地図屋が教える!住所の種類とは?

#豆知識 #住所 #住所の種類

こんにちは。『INCREMENT P Inside.』です。
地図会社としての本領を発揮して、「日本の住所」についての豆知識を紹介していきたいと思います!

そもそも日本の住所ですが、 地名番地・号で表現しています。
これを元に、

[その一] 地名に種類がある…?
[その二] 番地・号(数字の部分)にも種類があるの?

について書いてみました。

それでは、住所の世界に飛び込んでみましょう~!

目次

 

[その一] 地名に種類がある…?

地名は大きく分けて2種類、公称名称通称名称に分類されます。
公称名称は自治体が管理する住所です。
通称名称は行政区名や旧地名等で地域の人が呼んでいる地域の名称。公的に管理されていない地名が多いです。(中の人の故郷にもありました、このタイプの住所…)
通称名称を詳しく見てみましょう!
地域によって様々な地名がありますが、ここでは大きく2つに分類して見ていきます。

通称名称① 小字が通称名称である
公称にはないけれど、通称には小字(上の図でいうと「荒井」や「寺後」)が加わっていることがあります。小字があってもなくても郵便物や宅配便は届くので、好きな方の住所を使ってよいのです。意外とこの手の住所は多いかも?

通称名称② 行政区名が通称名称である
行政区分により呼ばれている地名が、通称名称として使われていることがあります。住所の数字の部分も変わります。その理由は、公称名称では「地番」を使いますが、行政区分により分けた通称名称では「行政区での管理番号」を使うからです。同じ位置でも全く違う住所になります。
行政区分による通称名称とは異なりますが、別荘地が多いエリアではエリア特有の地名と別荘地番号を住所に使うため、同じ位置でも公称名称とは全く違う住所になることが多く、複数の通称名称を持つ場合もあります。

こうした通称名称は自治体が持つ資料の中にはほとんどありません。しかし!住所としては認められています!地図屋としてはデータを集めるのにひと苦労ですが、面白いですよね。

(おまけ)京都の通り名も地名の一つにあたります。
例をあげると「京都府京都市上京区葭屋町通一条上る晴明町806-1」のような住所です。通りの名前と「上る・下る」のような表記が、町名や番地の前に入っています。

[その二] 番地・号(数字の部分)にも種類があるの?

住所の数字の部分は基本的に、地番で表示する場合と住居表示の場合の2種類に分けることができます。(※通称名称の場合は例外があります)
地番での表示は「土地」に対する番号、住居表示は「建物」に対する番号を使用した表示方法です。この二つにどんな違いがあるのでしょうか?

まず地番から説明しましょう。地番とは、不動産登記や徴税に使われる土地の番号のことです。
今の地番の基礎ができたのは、地租改正のころに遡ります。全国で測量がおこなわれ、土地ごとに番号を振っていきました。この番号が地番です。
地租改正のときにどのような決まりで地番が振られたのかは地域によって異なりますが、長い年月を経た現在、番号が飛んでいたり、ハイフン付きの番号があったりなかったり、無秩序に番号が並んでいることが多いです。なぜこのようなことが起きるのかというと、道路の整備がおこなわれたり、土地の相続や売却などで分筆(土地の分割)や合筆(複数の土地を一つにすること)がおこなわれているためです。分筆、合筆のイメージは下図をご覧ください。

地番の並びに規則性がないと、場所の特定が難しくなり不便ですよね。
このような状況を解消するために、まとまった区域ごとに地番を振り直す「地番整理」をおこなうことがあります。

次に住居表示の説明に移ります。昭和37年(1962)に住居表示制度が施行され、これに従い、建物に番号(住居番号)をつけた住所が生まれました。
町を分かりやすくすることや、郵便物を配達しやすくすることを目的としています。住宅が多い都市部で実施されています。
住居表示が施行されても、不動産登記では地番を使用します。相続の際に使う住所や本籍地が、普段使用している住所と異なることがあると思いますが、このような背景があるのです。

あとから作った住居表示は、地番と違って順番通りになっているのでしょうか?そうです、ルールが定められています!

まず道路や川など滅多に形が変わらないものを境界とし、街区が定められます。この街区に、起点となる角の街区からなるべく連続&隣接するように番号を付けていきます。街区が決まると、今後はその中に番号を付ける段階に入ります。一つの街区に注目して、その街区の角を起点として時計回りに、一定間隔で基礎番号を付けます。この基礎番号が付けられる間隔のことをフロンテージといいます!カタカナが出てきましたが焦らないでください…。フロンテージは大体10~15mくらいなので、10~15mごとに基礎番号が割り振られていることになります。そして、玄関が面している場所の基礎番号を住居番号とします。この番号が、住居表示の住所で使われている数字です。

皆さんのご自宅や勤務先などの住所はどれに当てはまりそうですか?
これを機に住所に対してさらなる興味を持っていただけたら嬉しい限りです。

今回は住所の種類と住所を定めるルールについてお伝えしました。身近なはずの住所も知らない事が多かったかと思います。以下も住所に関する記事です。ぜひご覧ください。

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